平成26年度 情報13  

NHKスペシャル “子どもの未来を救え”

「貧困の連鎖を断ち切るために」

 

         H26年12月28日放映(一部抜粋・要約)

 

1 導入場面(NPO法人フードバンク山梨の様子)

  ここでは連日、行政や社会福祉協議会の担当者から、食糧支援の依頼が寄せられている。

連絡を受けると企業や農家などから寄贈された食品を、生活に困窮する家庭に無償で届ける活動をしています。これまでに食料支援を行った家庭は1000世帯以上です。当初、支援の対象は高齢者や単身の男性が中心となっていましたが、今は子どものいる世帯が増え、全体の半数近くを占めています。子どものいる家庭に今何が起きているのでしょう?

 

  事例A(44歳、女性)さん:一人で4人の子どもを育てています。3年前に離婚、パートの仕事で得る月10万円の収入と児童扶養手当など8万円で生計を立てています。家賃や光熱費などの必要経費を差し引くと、食費は月に4万円ほどです。月により収入が減ることもあり、その時は食糧費が減ります。Aさん: 「ご飯ぐらいは、おなかいっぱい食べていいって、言ってやれたらいいのですが・・・。今の仕事をしていても給料は増えないし、何かいい方法はないかといつも考えています。」Aさんが、遅く帰宅するときは、子どもたちだけで食事をとっています。(お茶漬けを食べる場面が流れる。)食費が2万円ぐらいの月もあります。野菜や肉類はほとんど買えなくなり、米や麺などが中心です。

  食べるものに事欠く生活は、子どもたちに影響を与えています。次男(15歳): 「もらったお年玉はみな貯めておいて、お金がない時に使います。」 母親のいないときは長男(17歳)が皆の面倒を見ます。彼は、中学のころから不登校になりました。経済的な理由から、友達と同じことが出来ず孤立しがちでした。長男: 「お金がないので、ゲーム機なども買えず、他人に比べて、自分を低く見がちになって、人と比べるとき自分の劣っているところを見ていた。」

  もう一度やり直したいと思った長男は、母子世帯向けの貸付金を利用して、高校に進学しました。しかし、周囲になじめず、人と関わることに自信が持てなくなり、高校に通えなくなって中退し、家に閉じこもるようになりました。長男: 「人生を無駄な時間として過ごしているようです。夢はありません。考えても答えが出ません。なんでこんなになったのか? 母に対して申し訳ない。」

  この日、Aさんが帰宅したのは夜中の11時半でした。彼女は、荷物の積み下ろしの仕事で、腰痛に苦しんでいます。しかし、体を休める余裕はありません。Aさん: 「自分が手一杯でなにもできていない。でも、働かないと収入がないので、子どもに御免なさいとしか言いようがない。ぼろぼろです。」

  なぜ子どものいる家庭に、困窮が広がっているのか。NPO法人フードバンク山梨は新潟県立大学と共同で実態調査に乗り出しました。対象はフードバンクに食料支給を受けてきた子どものいる家庭270世帯です。調査を進めるうちに、特に母子家庭の児童が厳しい状態に置かれていることが分かりました。

 

  事例B(42歳、女性)さん:シングルマザーで2人の子どもがいます。派遣社員のBさんの月給は8万円です。児童扶養手当等の7万円を合わせて生活しています。Bさん:「保育園のほうから、お母さん寒いから長ズボンをはかせてと言われましたが、服など買えない状態です。家賃も1か月払っていません。家賃や生活費に使うとお金は月末にはほとんどありません。上の子は9か月体重が増えないことがありました。」 二人の子どもは、ぜんそくが原因で体調を崩すことが少なくありません。しかし、病気の子をあずかってくれるところが見つからず、会社を休むと仕事を失うという悪循環が続いています。Bさん:「仕事について不安があり、自分で育てられるのかと考え、3人で死のうかと思います。そうすれば楽になると、何度も考えました。」

  食糧支援を受けてきた子どものいる家庭270世帯での調査: 世帯主の多くが非正規雇用で平均年収187万円でした。一人当たりの1日の食費は329円、これは全国平均の半分です。2割の家庭は200円未満でした。更に、経済的な理由から子どもたちの様々な機会が奪われていることがわかりました。塾や習い事に行かせられない44%、遊びに連れて行けない44%、十分な医療を受けさせられない23%、貧困が子どもの健康や精神状態に影響を与えている59%、NPO代表の話:「心の成長、体の成長に影響を及ぼしているのが分かってきています。今の状況は大変な状況だと思います。」

 

2 子どもの貧困問題の専門家に聞く。

   国立社会保障・人口問題研究所 部長  安部 彩さん

   困窮者支援団体 理事  鈴木 晶子さん

 

   今の貧困状態をどうとらえていますか。

 鈴木さん:「高校生の男の子が1日に、菓子パン1個で生活しているとか、ポテトチップス1袋で生活しているのを見かけ、衣食住の困窮が広がってきていると感じます。」

安部さん:お金がなくて困っているだけでなく、生活のあらゆる側面に影響しています。

     経済的困窮 から 波及する恐れのある課題

     不健康、虐待、親の長時間労働、親のストレス、不健康、衣食住の不足

     孤立、無力感、発達への影響

     いろいろな影響が出てきて、それが内在すると、自分の肯定感が下がってしまいます。自分は価値のない人間ではないのかと考えるようになってきます。

   子どもが当たり前のことをできなくなってきていることを認識すべきですね。

 

3 貧困の実情

    ひとり親世帯の相対的貧困率 54,6%(国民生活基礎調査2012)

 先進20か国のデータの中で最悪である。

    母子世帯数 124万世帯(全国母子世帯等調査2011)

 この内、8割が働いていますが、困窮した暮らしから抜け出しにくい指摘がある。

女性の就業の問題 職業で女性は男性のサブであるという環境がある。この様な中で、女性一人が育てていくことは不利である。特に、働く世代の単身女性相対的貧困率33.3%(国立社会保障・人口問題研究所2012)は高い。

1人が働き、子育てをするのは困難である。しかも、子どもがいると、待遇の良い仕事につきにくい状態である。それだけでは足りないので、二重、三重と仕事をするトリプルワークまでして生活を支えています。子育て中の親御さんは不利な立場におかれているのは間違いない。女性はその内男性と結婚するだろうと、先入観念で今まで見ていて、女性の貧困について見てこなかったのも事実でしょう。

    どうして、なかなか見えてこない、知らない人が多くいるでしょう?

 当事者自身が声をあげにくい。どこに声をあげたらいいのかわからない。何をどのように助けを求めたらいいのかわからない。子どもたちには、貧しいことがいじめやからかいの対象にもなりますし、恥ずかしいことだと考える子どもも沢山いますので、お金がないとは言えません、声をあげづらくなっています。また、隣の人からも貧困が見えない状況もあります。貧困の方とそうでない方がバラバラに生活しているので、交わる機会も少ない状態です。

 

    東京三鷹市 杏林大学病院の場面

 心身に不調をきたし病院に運び込まれて、困窮が明らかになる人が増えています。この日運び込まれた23歳の女性、非正規雇用で働いていましたが、3か月前に仕事を失いました。今後も仕事が見つからないのではないかとの不安に駆られ、大量の風邪薬を飲み意識を失ったと言います。

衰弱して倒れて運び込まれた20代の2児の母親もいました。1週間前から苦しかったのですが、病院に行かず働いていました。子どもを抱え苦しく厳しい生活を送っていた中で、重い肺炎を起こしていました。

 患者の生活や経済面で相談に乗っているソーシャルワーカー加藤さんの話: 「貧困が周囲から見えないことで、事態が深刻化するケースが増えていると感じています。もっとこの人たちのSOSを早くキャッチできていたらこんなに何年も苦しまずに済んだだろうなと思います。」 生活が困窮していても、支援があることすら知らない女性がいることが多いと思います。

 

    事例C(妊娠7カ月 18歳)さん: 住んでいる自治体では、妊婦健診に補助があることを知らず、費用が払えないと思い、病院に来ることを躊躇していました。両親ともに収入の不安定な仕事で、子どものころから生活が楽ではなかったというCさん。定時制高校を中退し、建設現場で働いていました。職場で出会った男性との間に子どもができました。その後男性は仕事を失いました。子どもは一人で育てなければならないと考えています。Cさんには二人の幼い子どもがいます。親には迷惑はかけられないと、高校中退後は自活してきました。「一人いなくなれば、ちょっとは助かるのかなと思って・・」家を出ました。このままでは生まれてくる子どもにも、不自由な生活をさせてしまうと感じています。「お金がないと始まらないじゃないですか。だから、どうしようの一言に尽きますね。」

この病院では、深刻な問題を抱える親子の女性たちを、行政の窓口につないでいますが、支援の限界を感じています。加藤さん: 「いくら制度があっても、たどり着けない人ってたくさんいるじゃないですか。支援にたどり着くためには、病院自体が“感度”を上げておくということはすごく大事だと思う。」

社会の中で孤立を深めていく親子や女性たち、助けを求めても公的な支援になかなかたどり着けず、困窮を深めていくケースも少なくありません。

 

    事例D(シングルマザー 32歳)さん:妊娠してからもホテルのアルバイトで生計を立てていたDさん、5万7千円の家賃が大きな負担だったため、公営住宅に入れないか、窓口に相談しました。応募期間ではないことを理由に断られました。年金で暮らす高齢の両親には頼れず、出産直前まで仕事を続けました。Dさん: 「お金を貯めていなかったので、出産まで24時間体制のところで働いていました。」 出産後も暮らしを切り詰め、自分の食費を子どものミルク代に回してきました。貯金が10万円ほどにまで減った今年、福祉事務所に相談しました。職員からは、ハローワークで仕事を探すよう勧められました。しかし、子どもを預けて働く仕事はありませんでした。家賃も払えないほど貯金も減ってきました。Dさん: 「ミルク代でも月1万円ぐらい、もう生活できないくらいでした。」 先月もう一度福祉事務所に窮状を訴えに行きました。生活保護を受けることになりました。子どもとどこで暮らせばいいのか、不安な日々を送っています。

 

    事例E(自治体の取り組み 東京足立区): 東京足立区では、全職員を対象にして研修を行っています。どの課の窓口においても、生活に困窮しているような人が来れば、福祉の担当者に報告することを義務付けました。さらに、困窮者への支援をきめ細かく行うために、NPOとの連携も始めました。

病気の母親を支えながら働いていた30代の女性がいました。体調を崩し仕事を失いました。NPOは女性が抱える問題を細かく聞き取り計画書を作成、医療機関と連携しながの就労支援などの長期的なサポートを行っていくことになりました。女性の言葉: 「どこからどうしていいかわからなかった、それが今は全部ほぐれてきて、ようやくゆとりができてきました。」

足立区の健康づくり課長の)話: 「区役所には様々な窓口がありまして、いろいろなところで区民の方の、悩み事、困り事をキャッチする最前線です。窓口で気付いたときは、チャンスとしてとらえて、次の窓口につなぐというアンテナを高めておく必要があると思います。」

困窮者支援団体 理事  鈴木 晶子さん:「あれだけ追いつめられないとSOSがこちらから見えない状態という方がかなりいます。家を追い出されて、路上生活をする前の状態の人もいます。実際のところ、経済弱者の方は情報弱者でもあるのです。困窮する家庭の中で育ってきた子どもたちは特に、さまざまな社会の仕組みについて知らないことが多いと思います。親もそれを活用していないために、困窮状態がなかなか改善しない状態です。情報をとりに行くことが難しいし、どうして調べるのかも難しいし、助けてもらえるのを知らない方が多い状態です。」

 

4 母子世帯への支援

  助けてと言えない親子や女性たち、今ある支援は、例えば、母子世帯では、所得や子どもの数に応じて支給される児童扶養手当などの経済的支援やシングルマザー向けの就労支援などです。そして、最低限の生活を保障する生活保護があり、これが最後のセーフティネットです。子どもを貧困から救うために、制度をどのように利用すればいいのでしょうか。そして、今後どのような支援が必要なのでしょうか。

  私は働いているから駄目だと思わないで、不足分を補うためにと考えて支援を受けることも大事です。その状況に応じて、支援を受けることが出来るのです。

  公営住宅の斡旋、家賃の補助、食料の補助、光熱費の補助、等、いろいろなメニューを設けて、低所得者の家計を支える支援策の拡充が必要になってくると思います。

  市役所では、税金、健康保険料、水道料、保育料などの滞納があった場合は、困窮のSOSだと考えて対応をしてほしい。行政が困窮のサインを一番にキャッチできる窓口であり、その後どのように支援するかが大切です。

 

5 「国の子どもの貧困対策に関する大綱」 H26年8月閣議決定

    教育の支援・・・学習支援の推進

    生活の支援・・・生活相談の機能強化や子どもの居場所づくりを進める。 

    保護者への就労支援・・・親の自立や学び直しを図る。

    経済的支援・・・経済的支援、一人親家庭の支援について調査研究

 

6 連鎖を断ち切るために母親支援の現場

    事例F(札幌市 社会福祉法人―発達に心配のある子どもたちをあずかる): シングルマザー約60人を雇用している。ここでの支援で、生活の困窮から抜け出す人がいます。17歳と15歳の娘を育てるTさん(40歳): 9年前に離婚、専業主婦だったTさんは、仕事は見つからず、生活は一挙に苦しくなりました。1年位たって、長女を通わせていた関係で支援を受けることになりました。貯金の底をついたTさんが最初に受けたのは経済面の支援でした。幼い二人の子どもをかかえ、働きに出るのが難しかったTさん、社会福祉法人のスタッフの助けで、生活保護を受給することが出来ました。この社会福祉法人では、経済面の支援だけでなく、カウンセリングなど精神面のケア、法人での雇用・就労の支援など、生活を一貫して支えなければ、子どもを貧困から救い出せないと考えているのです。

社会福祉法人 麦の会 北川理事: 「今までは、お母さんがしっかりしていないとらえがちだったと思いますが、私達はそうではなくて、社会が支援しないのにお母さんを攻めてはいけないと思いました。」

Tさんは離婚後、多くの悩みを抱えていました。先の見えない生活への不安から、ことあるごとに子どもたちにきつく当たっていたのです。Tさん: 「もう、すぐに叩いていました。自分の思い通りにならなかったときなど・・・。」 

母親の精神的な不安定は、子どもたちの成長にも影響を及ぼしました。次女 中学3年生は4年前から不登校になりました。Tさん親子の様子を見て心配したスタッフは、グループカウンセリングへの参加を勧めました。同じ境遇の女性同士が、心を打ち明け合う中で、Tさんの心が安定すると考えたのです。会に参加したTさんは苦しい胸の内を徐々に打ち明けるようになりました。

そして、就労支援も始まっています。この社会福祉法人が運営するカフェで、接客などのトレーニングを受け、週に5日働けるようになりました。月に、12万円の収入を得るようになったことで、生活保護の収入は半分以下に減りました。経済面や精神面でのケア、就労支援、一貫したサポートを受ける中で、Tさん親子の生活は少しずつ安定してきました。Tさん: 「子どもたちも少しずつ明るくなった。私の働く姿を見て、働けるような大人になってほしい。」 4年間不登校だった次女も、2か月前から少しずつ学校へ通えるようになりました。今は、高校への進学を目指しています。次女:「お母さん、ちょっとしたことでどならなくなってきた。育ててくれて、お金も出しくれるから、感謝している。ちょっとだけ・・・」

 

 貧困の親から子への連鎖を断ち切っていく、教育現場の模索も始まっています。

 

    事例G(東京 足立区 東京都立青井高校 生徒数640人): 学校以外の人々の力を借りて子どもたちに安定した進路を選択させようという取り組みをしています。経済的に厳しい生活をしている家庭も少なくありません。中退する生徒の割合は、都立高の中でも高く毎年約30人です。進路が決まらないまま学校から離れる生徒も多いと言います。

進路指導担当教諭: 「たまたま家庭で資金的な面での準備ができない環境になった時、そこで本人の希望が途絶えてしまいます。ずっとではなく、いったん途絶えてしまうのは、何とも言えない無念で、それを非常に強く感じます。」

 昨年度の高校の新卒の就職内定率は98,2%でした。しかし、高校を中退すると就職は厳しくなり、国も対策を強化すべきとしています。高校では、去年からNPOと連携し、塾に通えない子らを対象に無料の補修講座を始めました。参加しているのはおよそ30人、学習への意欲を引き出し、中退の防止だけでなく、進学にもつなげたいとしています。参加生徒A: 「ありがたいです。学校だし、勉強しようという気持ちになれるので・・・。」、参加生徒B: 「塾やどこの予備校みても、授業料の値段が高いから通えないから・・・」、さらに、進学をあきらめた生徒に就職支援を強化しています。

 高校からの委託を受けて進路相談を受けるのはNPOのスタッフです。不登校や引きこもりなど、若者の自立支援の専門家です。生徒は、教師には相談しにくいことも気軽に話しに来ます。この日、専門学校に進学を希望していた3年生のYさんが相談に来ました。母親に学費の世話にはならないと、進学をあきらめ、就職するというのです。スタッフはYさんと一緒に仕事をいろいろ探しています。いろいろな課題を抱えているので、何とか希望通りしてやりたいと言っています。ホテルでベッドメイクの仕事をしている母の給料で生活している二人は。都営住宅で暮らしています。

Yさん: 「母親一人に働かせるわけにもいかないし、専門学校に行っても、お母さんからお金を取るだけじゃないですか。だから、自分で働いて家に少しでも金を入れたいのです。」 Yさんは、母親の家事を手伝いながら希望する会社の面接の勉強をしています。間もなく社会に出るYさん、周囲の人の支援を受けて勉強しています。

 

 NHKアナ: 「困窮者支援団体 理事  鈴木 晶子さん、シングルマザーを支えることについてどう思いましたか?。」 鈴木さん: 「生活の支援から、働く場所の支援まで一貫した支援を親子ともども受けることが出来るのは非常に貴重ですし、ぜひ他の地域でも同様の世帯丸ごとのワンストップの支援をお願いしたい。」 

アナ: 「子どもたちを高校で支援する活動もありましたがどう思いますか。」 鈴木さん: 「子どもの貧困対策の中でも、学校のプラットホーム化(学校を拠点にNPOなどと連携、国の大綱でも重視されている。)、学習支援、就労支援だけで終わるのでなく、生活の支援まで含めたものが、今後学校に入ってくるときに、学校を一つの起点として家庭、親たち全体を支えられることが出来ると思います。高校までは進学率も高いので、高校は子どもの姿が見える最後のチャンスだと思います。

もう一つは、もっている情報を学校だけでなく、地域に出し、地域の手助けを借りて、様々な支援をしていくことで、卒業した後も地域とつながり、人とつながることが生まれると思います。

 

 急がれる子どもへの支援

先進20か国の「子どものいる家庭への公的支出」、例えば、児童手当や児童扶養手当、育児休業への給付など、アメリカ20番目、日本は17番目です。支援はまだまだ不足している状態です。子どもの貧困対策は長い目で見ると投資であります。

 どこの地域に住んでいても、前記したような先進地の試みの支援を受けられるようになってほしい。そのために国が財政的な責任を持って配分をお願いしたい。

 国立社会保障・人口問題研究所 部長  安部 彩さん: 「まずは理解です。これまで子どもの貧困と言ったときは、ゲーム機を買うことが出来ない、塾に行くことが出来ないことでした。そのくらい我慢すればいいではないかということでした。大した問題ではないととらわれていました。そうではなく、育ち盛りの子どもが食べるものがない、お母さんがうつ状態になり、子どもと一緒に死にたいという状態になっていて、ほんとに深刻な状態が、今実際に起こっている状態です。おなかいっぱい食べれない子がいていいんですかと問いかけたい。これを解決する覚悟が必要です。」

 

 私たち一人ひとりは、

子どもたちの未来のために

何ができるのか。

 

 

 

          NHKオンデマンドで配信しています。